TOEFL Listen to a Conversation のコツ6つ
会話問題は、形式だけ見ればシンプルです。1分ほどの会話を聞いて、質問に2つ答えるだけ。正直に言うと、リスニングの中で特に難しい問題ではありません。ほとんどの生徒は全体の流れをつかめています。誰がなぜ来たのか、どんな状況なのかはわかっているのです。
それでも点を落とします。私の授業で見ると、間違いは2か所に集中しています。1つは話し手の意図を問う問題、つまり「なぜその人はそう言ったのか」を聞く問題です。もう1つは会話の後半です。最初はよくついていけるのに、終わりのほうで取りこぼす生徒がいちばん多いタイプです。この記事では、当サイトの問題120問を1行ずつ分析した数字を使って、この2つを説明します。まずは会話を1つ見てみましょう。
学生が図書館のカウンターに来ます。蔵書検索では本は館内にあることになっているのに、棚にありません。司書は、今朝ほかの人が借りていったと答えます。学生は1週間後が締め切りのレポートに必要だと言います。司書は予約を勧め、条件を1つ付け加えます。本は金曜日に返却予定で、返却されたらカウンターで3日間取り置きする、と。学生は "So if I don't come in by Monday, I lose it?" と確認し、"Then I'll place the hold." で締めくくります。
質問は2つです。学生はなぜ司書に話しかけたのか。そして、いつまでに本を受け取らなければならないのか。1つ目の根拠は1行目にあります。2つ目の根拠は4行目と5行目です。1週間後が締め切りのレポートの話は、どちらの質問の答えでもありません。むしろ、この行から誤答の選択肢が2つ作られていました("She needs help writing a report" と "Only on the day her report is due")。
問題の形式
- 聞くもの: 2人の会話が1つ。当サイトのセットでは6〜10往復、90〜214語です。スクリプトは表示されず、画面には話し手2人の写真が出るだけです。
- 答えるもの: 会話1つにつき選択問題が2問(ETS の Listening 指導案による)。質問と4つの選択肢は文字で表示されます。
- チャンス: 音声は1回しか流れません。リスニングでは前の問題に戻れません。
- 位置: Choose a Response の次です。当サイトの模試では Module 1 に会話が3つ、Module 2 に2つあります。アダプティブ形式なので、実際に出る数は少し変わることがあります。
- 時間: 会話ごとの制限時間はありません。ほかの問題とモジュールの時間を共有します(当サイトの模試では Module 1 が18分、Module 2 が11分)。
(出典: ETS TOEFL iBT Lesson Plan, Listening)
当サイトの120問からわかること
当サイトの TOEFL 模試12回分に入っている60の会話と120問を、問題タイプ別に分類しました。
| 問題タイプ | 問題数 | 例 |
|---|---|---|
| 詳細 | 59 | What does the professor tell the student to bring? |
| 推論 | 41 | What will the student probably do? |
| 目的 | 7 | Why does the student come to the office? |
| 次の行動 | 7 | What will the student probably do first? |
| 主旨 | 6 | What are the students mainly discussing? |
形はレベルによって大きく変わります。目的と次の行動の問題14問は、すべて easy と intermediate のセットにあります。upper と advanced では、60問中57問が詳細か推論です。会話の長さも、easy の平均103語から advanced の205語へと倍になります。レベルが上がるほど、試験は「なぜ来たのか」を聞かなくなり、「それでどうなるのか」を聞くようになります。
"Why does the professor mention..." や "What does she mean when she says..." のような話し手の意図を問う問題は、120問中10問でした。当サイトのセットは内容を問う問題に寄っているので、このタイプはコツ6で別に扱います。
質問の最初の単語も数えました。What が68問、Why が44問(37%)です。アドバイス・提案・申し出(suggest, advise, recommend, offer など)に関する問題は34問(28%)でした。話し手の組み合わせは、学生と教授が16、学生同士が11、残りの33は司書、アドバイザー、寮のスタッフ、駐車場の係員といったキャンパスの職員との会話です。
コツ1. 最初の2行が問題、最後の2行が結論
キャンパスの会話は、ほぼすべて同じ枠組みでできています。学生が困りごとを持ってきて、相手が解決策を出し、最後に何をするかが決まります。
目的を問う7問のうち5問は、根拠が会話の最初の3分の1にありました。次の行動を問う7問は、すべて後ろの3分の2に根拠がありました。また60の会話のうち18では、最後の2行のどちらかが Then か So で始まっていました。"Then the waiting list is your best option," "Then fill out the online application today." といった具合です。
ですから、いちばん集中して聞くべきなのは最初の2行と最後の2行です。最初の2行では、この人の何がうまくいっていないのかを数語でつかみます。終わり近くで Then や So が聞こえたら、決まったことを拾います。真ん中は、その2つをつなぐ道のりです。
コツ2. 推論の答えは後半にある
推論問題41問のうち38問は、根拠が会話の中盤か最後の3分の1にありました。最初の3分の1にあったのは3問だけです。詳細問題は逆で、59問中28問は根拠が冒頭近くにあり、ほかのどの位置よりも多くなっていました。
理由は単純です。推論問題は「それでどうなるのか」を聞きます。その答えは、条件と反応がすべて出そろって初めて存在します。駐車違反の会話を例にとりましょう。学生が違反切符を切られます。間違った駐車場に停めていて、もう一方の駐車場は満車だったと説明します。最後の行で係員が、初回の違反なら7日以内にオンラインで異議申し立てをすれば、たいてい認められると言います。質問は、異議申し立てのフォームを出したらどうなりそうかを聞いています。答えは、違反切符はおそらく取り消される、です。冒頭を完璧に聞き取れても、この問題には答えられません。
最初の数行で全体像がつかめると、つい気が緩みます。でも問題のほぼ半分は、そのあとの部分から出ます。最初はついていけて最後で取りこぼす生徒は、私が教える中でいちばん多いタイプです。根本的には集中力の問題です。いちばん確実な対策は、最初の行から最後の行までメモを取り続けることです。手が動いている間は、耳も休みません。練習しながら、自分の集中がどこで落ちるのかに気づき、それを保つ自分なりの方法を見つけてください。
コツ3. 日付と条件は計算問題になって戻ってくる
120問中10問は、if, by when, earliest, when will といった言葉で、条件を当てはめたら何が起きるかを聞いていました。
図書館の2問目がこのタイプです。会話には "Monday" が出てきますが、それを言っているのは学生で、自分の理解を確かめているだけです。司書が実際に伝えているのは「金曜日に返却、3日間取り置き」で、正解の選択肢は "within three days after it is returned on Friday" です。誤答の選択肢はどれも、会話に出てきた別の時間を使っています。"within a week"(レポートの締め切り)、"before the library sends an email"(連絡の方法)、"only on the day the report is due"(学生自身の事情)です。
日付、曜日、数字が2つ以上出てきたら、数字だけを書かないでください。1語でもいいので、それが何の数字なのかをつけておきます。"Fri return / 3 days hold / report 1 wk" のようにです。会話に出た数字のほとんどは選択肢にもう一度出てきます。ただし、違うものにくっついた形で。
コツ4. 3問に1問は Why で始まり、アドバイスには理由がついてくる
質問の37%が Why で始まり、advanced では30問中15問、つまり半分でした。会話では、理由はたいていアドバイスと一緒にやってきます。誰かが「こうしたら」と言えば、「なぜなら」がすぐあとに続きます。
アルバイトの会話を見てみましょう。アドバイザーが、食堂と図書館の両方で人を募集していると言います。図書館のほうが少し時給が高いけれど、週末のシフトに最低1回入る必要がある、と。学生は、週末はたいてい実家に帰っていると言います。質問は、なぜ彼は図書館の仕事を選ばなさそうなのかを聞いています。答えは、週末に働く必要があるから、です。誤答の1つは、食堂より時給が低いから。言われたことのちょうど逆です。
アドバイスが出てきたら、「なぜ」も一緒に拾ってください。アドバイスと理由をメモの同じ行にまとめておけば、Why の問題も suggest の問題も楽になります。
コツ5. 会話問題では、聞こえた単語で誤答を絞り込めない
Choose a Response の記事では、今聞いた単語を繰り返している選択肢は疑え、と書きました。このルールはここでは通用しません。当サイトの120問では、正解の選択肢に含まれる内容語のうち平均60%がスクリプトに出ていました。誤答の選択肢は49%です。正解のほうが、スクリプトの単語を少し多く使っているくらいです。
会話問題の誤答は、単語を入れ替えるのではありません。スクリプトにある本当の事実を取り出して、違うものにくっつけるのです。履修登録の会話がいい例です。学生が取りたい授業は満員で、アドバイザーは水曜夜のクラスを勧めます。学生はその時間、書店で働いていて、店長が1か月前にシフトを組むので、今学期は変えられません。質問は、なぜ彼は夜のクラスをやめることにしたのかを聞いています。答えは、今学期は勤務シフトを変えられないから。ところが誤答の "He is eleventh on the waiting list" も、スクリプトそのままの内容です。ただ、それはキャンセル待ちの話で、夜のクラスの話ではありません。
ですから選択肢は「これは言われたか」ではなく、「誰が、何について言ったのか」で絞り込んでください。言われたことでも、別の話題に属していれば不正解です。
コツ6. 話し手の意図を問う問題は、話し言葉の表現で決まる
この問題で生徒がいちばん間違えるのは、「なぜ話し手はこう言うのか」「彼女は何を言いたいのか」を聞く問題です。状況はわかっているのに、ある1行の本当の意味を取り違えるのです。
原因は練習の方向にあります。アカデミックな文章や講義に偏った対策をしていると、書き言葉の英語には強くなりますが、人が毎日使う小さな話し言葉の表現には弱いままです。"I wouldn't count on it" が「期待しないほうがいい」、"That's a stretch" が「それは言い過ぎだ」という意味だと知らなければ、会話全体についていけても、この問題は落とします。語彙力が足りないのではありません。その表現が持つニュアンスを知らないのです。
当サイトのセットでは、このタイプは次のような形です。"Why does the professor mention the department chair's travel?" 答えは、学生は早めに書類にサインをもらうべきだ、です。質問は出張そのものについてではなく、教授がなぜそれを持ち出したのかを聞いています。別の問題では、教授が「君が持っているのは質問ではなくテーマだ」と言うのはどういう意味かを聞いています。答えは、テーマが広すぎて、そのテーマの何が疑問なのかをまだ言っていない、です。
だからこそ、話し言葉の表現は書き言葉の英語とは別に覚える必要があります。よく使われる100個を、本当の意味と一緒に TOEFL リスニング会話によく出る英語の話し言葉表現100 にまとめました。
ほぼすべて書く、ただし構造として書く
会話問題でもメモは取るべきです。ほぼすべてを書き留めるつもりでいてください。ただ、ここで生徒は2種類に分かれます。聞こえたことを一語一語そのまま書く人と、聞いたことを一瞬で処理して構造として書く人です。点数が高いのは後者です。
1文が長いと、全部を書くことはとてもできません。その場で文の核をつかみ、あとで思い出せる形で書くこと。これが会話メモでいちばん大事な技術です。そのためには自分なりの略語と流れを示す記号が必要で、何を書いて何を捨てるかを決めることでもあります。冒頭の図書館の会話を、2通りの方法でメモしたものがこちらです。
| 一語一語のメモ | 構造化したメモ |
|---|---|
| looking for a book Introduction to Marine Biology catalog says in library but isn't on the shelf | 学生: 本X 棚にない(検索では ✓) |
| someone borrowed it this morning system hasn't updated | 司書: 午前に貸出 → 予約OK |
| due back on Friday keep it at the desk for three days | 金 返却 → 取り置き3日(= 月) |
| report due a week from today | (学生の理由: レポート 1週間) |
| Then I'll place the hold student number university address | 結論: 予約 ✓ / 学籍番号、大学メール |
左の列は、1行目を書いている間に2行目を聞き逃しています。右の列は、矢印とかっこだけで「問題 → 選択肢 → 条件 → 結論」を示していて、2つの質問の答え(なぜ来たのか、いつまでか)がどちらも入っています。学生自身の事情のように答えにならない情報は、かっこの中に追いやっています。
私がすすめる練習法3つ
- 最初から最後まで手を動かし続ける。 会話を1つ聞いて、上の右の列のようにメモを取ります。聞き終わったら、メモだけを見て「問題、選択肢、結論」の3つの枠を声に出して埋めます。空いた枠が、集中が落ちた場所です。
- 間違えた問題はすべて、根拠の行に番号をつける。 解答ページで「Show the script」を開き、根拠がどの行にあるかを探します。間違いがいつも後半を指していればコツ2が弱点です。話し手の意図を問う問題なら、コツ6です。
- 話し言葉の表現は別に覚える。 スクリプトの中で、意味はわかるけれどニュアンスがあいまいな表現に線を引き、話し言葉表現100 の表で本当の意味を確かめて、例文と一緒に覚えます。
本番のつもりで練習を始めよう
TOEFL 模試 001 のリスニングセクションには、本番と同じ順番で会話が5つ入っています。音声は1回しか流れず、スクリプトは表示されません。解き終わったら 解答ページ でスクリプトを開き、根拠の行を自分で探してみてください。会話問題の前にある短い応答問題については TOEFL Listen and Choose a Response のコツ5つ、さらに多くの会話と講義は TOEFL リスニング練習 にあります。メモがどうしても崩れてしまう人は、TOEFL リスニングのメモでよくある失敗 から始めてください。