TOEFL Academic Discussionのテンプレート:型だけ覚えて、中身は空けておこう
前の記事(5点と3点はどこで分かれるのか)で、筆者はテンプレートを試験の直前にだけ覚えるようにと書いた。この記事はその次の質問に答える。では何を覚えればいいのか。市販のテンプレート記事は、「In my opinion, I agree with...」のような一般的な文を並べる。この記事は違う。testpracticelabの模範答案のうち上位の答案15個を1つずつ読み、実際にどんな型で書かれているかを逆算して取り出した。2つの型が出てきた。どの問題にどの型を使うか、相手の学生の投稿をどう扱うか、試験の直前に何を覚えるかまでまとめた。
まず、この型は公式のテンプレートではない
- ETSが決めたテンプレートはない。公式の採点基準は、関連性があり十分に展開された考え、言語使用の多様性、正確な言語使用だ。
- 以下の型は、当サイトの上位模範答案15個から取り出したものだ。公式の採点結果ではなく、当サイトの答案のパターンだ。
- テンプレートは点数の床を上げてくれるが、天井は中身が決める。だから文ではなく型(空欄)だけを覚え、中身は毎回新しく埋める。
(出典:ETS公式のWrite for an Academic Discussionの説明とWriting Scoring Guide、testpracticelabのwriting練習15セットの上位模範答案の全数確認)
下は実際の画面だ。教授の質問1つと学生2人の投稿が出て、そのあとに自分の投稿を書く。各項目の例では、波線が良い方、取り消し線が避けるべき方を示す。
1. 上位の答案15個は2つの型に分かれた
- 当サイトの練習セットでの観察であり、実際の試験の出題分布ではない。
- 型Bの短い答案3個は、ETSの「良い答えはふつう100語以上」より短いので、手本にしなかった。
| 型A:経験型 | 型B:原理と事例型 | |
|---|---|---|
| 答案数 | 5個 | 10個 |
| 出た問題 | 制服、アルバイト、友達、お小遣い、給食のような生活・好みの話題 | ナショナリズム、関税、富裕税、世界政府、AIの責任、リモートワーク、週4日勤務のような政策・社会の話題 |
| 最初の文 | "I agree with X that ..., because ..." | "While X argues ..., he fails to consider ..." |
| 根拠 | 自分の経験の一場面 | 原理の説明のあとに、名前のある実在の事例(10個中7個) |
| 相手の学生 | 認めたうえでHoweverで反論 | 最初の文で反論の対象として名指し |
| 長さ | 118〜124語 | 128〜140語(5個)、46〜61語(3個) |
2. 型A:経験型
- 生活や好みを問う問題(制服を着るべきか、10代はアルバイトをするべきか)で使われた。空欄は5つだ。
型Aの5つのスロット
立場と理由、自分の経験の一場面、その経験が示すこと、相手の学生を認めて反論、締めの順番だ。空欄に自分のトピックの内容を埋める。
I agree with Lily that schools should require uniforms, mainly because they reduce pressure on students.
スロット1:立場と理由を1文で。
When I was in middle school, we could wear our own clothes, and many of my classmates worried about having the newest sneakers or brand-name jackets.
スロット2:経験の一場面。
Marcus makes a fair point that clothes help young people show their personality. However, students still have many other ways to express themselves, such as their hairstyle, their backpack, or the clubs they join.
スロット4:認めたうえで、具体的な代案で反論。
3. 型B:原理と事例型
- 政策や社会の問題を問う問題(関税、富裕税、リモートワーク)で使われた。空欄は5つだ。
- 当サイトの上位答案の型Bでは、fundamental、mechanism、facilitate、paradigm shiftのような表現が複数の答案で繰り返された。表現まで覚えると、採点基準の多様性で損をするかもしれないので、型だけ覚えて単語はその場で選ぼう。
型Bの5つのスロット
相手の名指しと抜けている点、原理の説明、名前のある事例、事例が示すこと、結論の順番だ。事例は、出来事、国、研究のような確認できるものを選ぶ。
While Michael argues that nationalism fosters unity, he fails to consider its potentially divisive international impact.
スロット1:相手を名指しして、抜けている点を示す。
For example, in the early 20th century, fierce nationalist sentiments in Europe significantly contributed to the outbreak of World War I
スロット3:名前のある実在の出来事。
This case illustrates the fundamental flaw in viewing nationalism solely as a cohesive force.
スロット4:事例を主張につなげる。
4. どの問題にどの型を使うか
- 自分の経験で根拠を示せる問題(校則、友達、お小遣い、アルバイト)は型A。経験の一場面が、いちばん具体的な根拠になる。
- 社会制度や政策を問う問題(税、貿易、規制、働き方)は型B。自分の経験は根拠として弱く、名前のある事例が主張を支える。
- どちらも使えそうなら、型Aで始めて根拠だけを事例に替える。型Bの「While X argues...」を無理に使わない。
問題を読んで2分以内に型を選ぶ
読む時間に、まず「自分の経験で根拠を示せるか」を問う。示せるならA、示せないなら、思い浮かぶ社会的な事例があるかを見てBを選ぶ。
5. 相手の学生の投稿はこう扱う
- 低い答案と上位の答案の、いちばんはっきりした違いの1つがここにあった。生活の話題の5問で、低い答案は5個すべてが相手の学生を1つの節で片づけた。上位の答案は5個すべてが、相手の言い分を認めたうえで、具体的な代案で反論した。(当サイトの5組での観察だ。)
相手の学生のいちばん強い論点を先に認めてから反論する
相手の学生を1つの節で片づけない。いちばん強い論点を先に認めたうえで、具体的な代案で反論する。認めると、自分の反論の説得力が増す。
Marcus says clothes show personality, but I think school is a place for studying, not for fashion.
相手の主張を1つの節で片づける。理由がない。
Marcus makes a fair point that clothes help young people show their personality. However, students still have many other ways to express themselves.
認めたうえで、具体的な代案で反論する。
6. いつ覚えて、いつ手放すか
- 筆者が教えた学生の範囲では、テンプレートを覚えてきた学生の方が、そうでない学生より点数が2〜3点ほど高く出た。ただ、勉強の間ずっと型に頼ると、論理力が育たない。
覚えるものを時期ごとに分ける
勉強期間は型なしで書き、試験の1〜2週間前にスロットの順番を整理し、前日に練習問題1つでスロットを埋めてみる。当日は、読む時間に型を選び、スロットの順に短くメモしてから書く。
今日から練習しよう
テンプレートは文ではなく型だ。問題が変わってもスロットの順番は同じで、スロットの中身は毎回新しく埋める。その中身は、結局は論理力から出てくる。
この記事の2つの型は、testpracticelabの無料TOEFLライティング練習セットで確認できる。セットを1つ選び、10分のタイマーをかけ、問題を読んで型AとBのどちらが合うかを先に決め、スロットに中身を埋めて書いてみよう。採点基準とデータ分析は前の記事で見られる。