TOEFL Academic Discussion:5点と3点はどこで分かれるのか
ETSの採点基準では、5点の答案は「よく展開された説明、例、詳細」を備えた答案で、3点の答案は説明や例、詳細の一部が欠けている、不明確、または無関係な答案だ。分かれ目は文法ではなく、考えをどこまで展開したかにある。この記事は、Write for an Academic Discussionを公式の採点基準で読み、testpracticelabの模範答案30個を比較した結果と、12年間教えてきて見たことを加えて、何をどう準備すればよいかをまとめた。
公式が言っていること
- 時間:10分。
- 分量:最大の長さはなく、良い答えはふつう100語以上。
- 点数:1課題あたり0〜5点。
- 評価基準3つ:関連性があり十分に展開された考え、言語使用の多様性、正確な言語使用。時間制限のある執筆で出る軽微な誤りは許容される。
(出典:ETS公式のWrite for an Academic Discussionの説明とWriting Scoring Guide)
下は実際の画面だ。教授の質問1つと学生2人の投稿が出て、そのあとに自分の投稿を書く。各コツの例では、波線が良い方、取り消し線が避けるべき方を示す。
1. 実際の画面と採点基準
- 5点:議論に関連する貢献で、説明・例・詳細がよく展開されている。文の構造が多様で、語彙が正確。
- 4点:関連する貢献で、説明・例・詳細が適切に展開されている。
- 3点:おおむね関連があり理解できるが、説明・例・詳細の一部が欠けている、不明確、または無関係。
- 1点の記述には、「一貫した言語の大部分が刺激文から借りたもの」が含まれる。学生の投稿を写す答案は得点にならない。
- 5点でも、時間制限下の有能な書き手が出す程度の誤字は許容される。条件は完璧な文法ではなく、最後まで展開された考えだ。
2. 当サイトの模範答案30個を調べてみると
- testpracticelabのwriting練習15セットには、同じ問題に対する上位の答案と低い答案が1組ずつ、計30個ある。自分で集計した。公式の採点結果ではなく、当サイトの模範答案の比較だ。当サイトの模範答案は30点満点で表記していて、ETSの課題ごとの素点は0〜5点だ。
| 上位の答案(Perfect) | 低い答案(High) | |
|---|---|---|
| 長さ(中央値) | 120語 | 79語 |
| 文の数(中央値) | 6 | 6 |
| 最初の文が名前を挙げただけで終わる("I agree with Lily.") | 0 / 15 | 5 / 15 |
| 実在の出来事・国・企業を挙げた根拠 | 7 / 15 | 0 / 15 |
| "For example"または"For instance"で挙げた例 | 5 / 15 | 10 / 15 |
| 最初の文が"While X argues..., he fails to..."の型 | 10 / 15 | 0 / 15 |
文の数は同じなのに、語数が違う。上位の答案は文が長く、1つの文の中に理由と結果を一緒に入れている。低い答案は「For example」で例を挙げる割合が高かったが(10/15)、そのあとに来るのは、祝日の行事や「students can...」のような一般的な状況が多かった。分かれるのは例の数ではなく、例の具体性だ。
3. 同じ問題、2つの答案を分解する
- 問題は、ナショナリズムが社会の結束に必要な力なのか、世界平和への主な脅威なのか、というものだった。学生のMichaelは必要だと、Emilyは危険だと書いた。
- 低い答案(80語前後)は「I agree with Michael...」で始まり、祝日の行事を例に挙げ、「バランスが必要だ」で終わる。間違った文はないが、例が主張を支えていない。
- 上位の答案(140語台)はMichaelの主張を1文で言い換えたあと、足りない点を示し、第一次世界大戦という実在の出来事で根拠を立て、そのうえで何が問題かまで展開する。
最初の文で立場と理由を一緒に言う
「I agree with Lily.」で終わらせず、同じ文の中で理由まで付ける。当サイトのデータでは、名前を挙げただけで終わる最初の文は、低い答案にだけ出た。
I agree with Lily.
名前を挙げただけ。理由がない。
I agree with Lily that schools should require uniforms, mainly because they reduce pressure on students.
同じ文の中で立場と理由を一緒に言っている。
理由、根拠、だからの3拍で書く
主張1つごとに、「なぜそうなのか、その証拠は何か、だから何が変わるのか」を1つのまとまりで書く。採点基準のelaborationがまさにこのまとまりだ。
根拠は名前のある出来事や具体的な事例で挙げる
「students can...」のような仮定の代わりに、出来事、国、研究のような確認できる事例があれば、その文が主張を支える。事例が浮かばなければ、いちばん具体的な状況を1つ思い描いて書く。
For example, when people celebrate national holidays, they share common traditions.
例が主張を支えていない。
fierce nationalist sentiments in Europe significantly contributed to the outbreak of World War I
名前のある実在の出来事が根拠になる。
学生の投稿は写さず、自分の言葉で1文に言い換える
採点基準の1点の記述が「刺激文から借りた言語」だ。学生の文をコピーせず、自分の単語で1文に要約してから反応する。
Michael says that nationalism helps people feel united.
学生の文とほぼ同じ。
Michael treats national pride as a glue for cooperation.
自分の言葉で書き直した1文。
4. 12年教えて見た本当の理由:語彙ではなく論理だ
- 学生の多くは、良い単語を使えば点数が上がると思っている。しかし、筆者が見てきた低得点の理由は、たいてい単語ではない。自分が言いたいことと意図を、どうすれば正確に狙って伝えられるかを考える必要があり、そうすれば良い単語はついてくる。
- 実際には、多くの学生の論理力は小学生のレベルで止まっている。反論されやすい主張をそのままにして単語だけ変えようとするので、文章が不自然になる。論理力は高校生、大学生のレベルまで上がる必要がある。
単語を変える前に、反論される点を直す
主張を書いたら、まず「この文に誰が反論できるか」を問う。反論される点が残っていれば、単語を高級なものに変えても文章は不自然だ。まず論理を一段階具体的にする。
Public schools are bad because students feel bored.
小学生レベルの論理。反論されやすい。
Public schools are detrimental because students experience tedium.
単語だけ変えた。論理は同じなので不自然。
A fixed curriculum cannot adjust to each student's pace, so fast learners stall and slow learners fall behind.
理由が具体的なので、単語が自然についてくる。
5. テンプレートは役に立つか:試験の直前だけ
- 筆者が教えた学生の範囲では、テンプレートを覚えてきた学生の方が、そうでない学生より点数が2〜3点ほど高く出た。だから、試験の直前にテンプレートを覚えていくことは勧める。
- 当サイトの模範答案でも、上位の答案15個のうち10個が「While X argues..., he fails to consider...」の型で始まった。安全な型だというのは事実だ。
- ただし、勉強している間はテンプレートを覚えない方がいい。テンプレートは最初の文の出発点にすぎない。床は上げてくれるが、天井を決めるのは論理だ。(公式の基準には言語使用の多様性があるが、テンプレートが減点されるという公式の根拠はない。)
テンプレートは試験の1〜2週間前に整理する
勉強期間は論理の訓練に時間を使い、試験の1〜2週間前から、最初の文の型を2、3個整理する。当日は型を出発点にだけ使い、続く3文に力を注ぐ。
6. 論理力はこう育てる
- 総合的な英語学習の観点では、時間制限なしに、AIを使わずに自分で調べながら、自分の文章を展開していく訓練が先だ。
時間制限なしに、AIなしで自分で調べる
トピックを1つ決めて、Googleで調べて読み、YouTubeでほかの人がどう考えているかを見る。AIが整理した答えを書き写しても、自分の思考力は伸びない。多様な意見を自分の目で見ながら文章を展開するのが、いちばんの訓練だ。
同じトピックを、個人、企業、政府の視点に分けて見る
1つのトピックでも、個人の視点、企業の視点、政府の視点は互いに違う。論理力が弱い学生や幼い学生は、この違いを理解できず、文章に溶け込ませられない。視点を先に身につければ、根拠の種類が増える。
Individual: 個人の時間と健康、選択の自由
Company: 生産性とコスト、人材の維持
Government: 労働政策、税収、公共サービス
例のトピック:週4日勤務。視点が違えば、根拠の種類も変わる。
当サイトのAcademic Discussion練習セットで訓練する
調べた視点をすぐ文章にするには、実際の問題形式で練習するのがよい。testpracticelabのAcademic Discussionの問題を解き、上位の答案と自分の文章を、長さ、最初の文、根拠の具体性で見比べる。
時間配分
100語を超え、10分を3つに分ける
ETSは、良い答えはふつう100語以上だと案内している。当サイトの上位の答案の中央値は120語だった。時間配分は当サイトの提案だ:最初の2分で読んで立場を決め、6分で書き、最後の2分で根拠を補強して誤字を確認する。
今日から練習しよう
点数を分けるのは良い単語ではなく、自分の考えをどれだけ正確に、反論されにくく広げられるかだ。テンプレートは試験の直前に用意し、それまでは論理力を育てよう。
この記事の画面は、testpracticelabの無料TOEFLライティング練習セットから取っている。10分のタイマーをかけて1問書き、上の表の項目で上位の答案と自分の文章を見比べてみよう。試験の直前に覚えるテンプレートの型は、次の記事にまとめた。